Jetspeedによるポータルサイトの構築

2. ポータルサイトとは，
さて，ポータルサイトとは何でしょうか．一般的には，さまざまな情報やシステムへの入り口を集約して提供するサイトを差すことが多いようです．前述のYahoo!やLycosなどは，ニュース，天気予報等多くの情報や，さまざまなサイトへのリンク，システムへの入り口を提供しており，一般のインターネットユーザを対象にしたポータルサイトと考えることができます．
一方，特定の情報のみへの入り口を提供するポータルサイトもあります．たとえば，映画という情報に絞り，映画に関するさまざまな情報やリンクを提供するサイトは映画ポータルと呼ばれますし，懸賞情報などを集めたサイトは懸賞ポータルなどと呼ばれます．また，利用者を制限するタイプのポータルサイトもあります．特定企業の従業員を対象に，社内の各種規定などの情報や，人事・経理・総務などのシステムへの入り口を提供するものは，企業ポータルと呼ばれます．
このように，扱う情報の種類や使用環境・対象とする人は異なるものの，複数の異なる情報を扱い，それらの情報への入り口を提供することがポータルサイトの特徴と言えます．さまざまな情報を同時に扱う手段を提供することがポータルの中心技術と考えると，ポータルサイト構築のための技術は，いわゆるポータルサイトと呼ばれているサイト以外でも，さまざまな場面に展開が可能であることがわかります．
たとえばショッピングサイトでは，そのサイトを訪れたユーザを対象に，一般的な商品情報のほかにそのときどきのお買い得情報や，季節物情報，購入履歴や購入した商品の配送状況などのさまざまな情報を提供しますし，教育系のサイトでは，受講生や講師を対象にクラス情報，受講情報，レポートの提出状況，掲示板などの多数の情報を取り扱うことになります．同様のことは，ECや教育サイト以外にも，さまざまな情報系サイトやコミュニティサイトなどにも応用可能です．

2.1 ポータルサイトに求められる機能
システム的に見た場合，ポータルサイトに求められる機能は何でしょうか．以下の機能は，すべてのポータルに必須というわけではありませんが，多くの場面で有用となる機能です．

図1は，今回のテーマであるJetspeedによるポータルサイトの画面例です．画面は，「ポートレット」と呼ばれるビューに分割されており，外部サイトから取り込んだ情報を含む複数の情報が表示可能です．ユーザは，どのコンテンツをページ上に表示するかを選択することができ，また画面の構成やデザインのカスタマイズが可能になっています．

図1 Jetspeedによるポータルサイト

ポータルサイトでは，独立したさまざまな情報を扱う必要がありますが，これをすべてまとめて1アプリケーションとして作成するのは困難です．ポートレットごとに独立したアプリケーション（以下，1ポートレットのコンテンツを提供するアプリケーションを「ポートレットアプリケーション」と呼びます）として開発し，フレームワークがそれらの情報を合成して1画面を生成するメカニズムが必要であり，そのためにはポートレットのためのフレームワークが必須です．さらに，上記で記述されているようなユーザ識別や画面デザインのカスタマイズ，外部情報の取り込みなどの機能がフレームワークとして提供されると，ポートレットの開発が容易になります．

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